2024-05-30

原材料のこと part2

 みなさんは普段どんな油を使っていますか。スーパーにおいてあるサラダ油、キャノーラ油、コーン油、オリーブ油、ごま油。最近は、米油、えごま油、アマニ油、菜種油、ココナッツオイルもどこででもみかけますね。これらはほとんど「植物性油脂」です。あとは、「動物性油脂」のバターと「加工油脂」のマーガリンやショートニングが一般的でしょうか。
 食用油脂の多くは植物性油脂で、その数20種類以上あります。油の搾り方にも「抽出法」と「圧搾法」などがあります。抽出法による油は、溶剤を使い原料から効率よく油を取り出すことによって安価で提供されています。圧搾法で溶剤等を使わず取り出す油は、収量が少ないために値段も高くなります。

 当店では、パンには米油、太白胡麻油、オリーブ油を、焼き菓子には米油、圧搾菜種油、ココナッツオイルを使っています。近年スーパーで取り扱いの増えてきた米油ですが、実は玄米100㎏から抽出法でとったとしても1㎏しかとれません。びっくりです。圧搾法ならもっと少ないのです。大豆油では大豆100㎏から9㎏とれるので、米油は大量生産が難しく価格が高めになるということです。

 健康上、油を摂らないようにするといったことを聞くことがありますが、油脂は私たちの必要とする「たんぱく質」「糖質」「脂質」といった三大栄養素の一つです。体の細胞の膜となったり、免疫力の向上、炎症やアレルギーの緩和、体温維持、髪や肌のうるおい維持、血液循環をよくするといった働きがあります。
 動物性油脂の中でパンや菓子に使われるバターは、牛乳からとったクリームの固まりで、香りがよく、コクや濃厚さが出るのですが、乳製品にアレルギーをもつ方への対応をしている当店では使用しておりせん。
 また、加工油脂のマーガリンやショートニングも使っておりません。これらは、製造工程でトランス脂肪酸が生じるということで、健康上問題視する向きもありました。厚生労働省によると、日本での摂取量は少ないので、健康上問題となることはないそうです。しかし、トランス脂肪酸と肥満やアレルギーとの関連は認められているとのことなので、大量摂取は避けたいものです。食品のトランス脂肪酸の含有量については、ご興味がある方は調べてみられるとよいと思います。
 当店では、マーガリンやバターの代わりに大豆から作られた「ソイレブール」という商品を使っています。トランス脂肪酸に関しては、マーガリンが約7%に対しソイレブールは1%ほど、バターの半分ということで全くないわけではありません。

 油を使う中で搾り方のほかに注視しているのが酸化です。酸化した油は、健康上もよくないですし、臭いや食感もよくないことをご存じかと思います。ドレッシングに適している油なのか、加熱に強く揚げ物などにも適している油なのかという観点で選びます。ビタミンEが多く含まれる油ほど酸化されにくい特徴があり、大豆、コーン、綿実、菜種、ごま、ヒマワリ、コメなどが酸化されにくい油です。
 さらに、飽和脂肪酸なのか不飽和脂肪酸なのかも大事です。飽和脂肪酸の多い食品は、ラード、肉、卵、バターとヤシ油です。不飽和脂肪酸の多い食品は、植物や魚の油です。不飽和脂肪酸のなかでも特に、リノール酸やα‐リノレン酸は体内で生成できない必須脂肪酸であるため、私たちは食品から摂取する必要があります。
 ちなみに、ヤシ油つまりココナッツオイルは、その60%が中鎖脂肪酸です。中鎖脂肪酸MTCオイルは、一般の植物油に比べて、消化吸収が早くエネルギーになりやすい特徴があります。そのため体脂肪がつきにくく、日本中が大注目したわけです。
 

 普段の食事の中でドクター等の指導を受けておられる方はその指示に従うことが大事です。それ以外の場合は、楽しく美味しく食事をいただくため、あまり神経質になるのは考えものです。しかし、どんな食品も摂り過ぎを繰り返すことは健康を害する元となります。また、食品は時間とともに劣化したり酸化が進んだりするので、おいしいうちに適量をとる食事を心がけましょう。

 最後に、スーパーでは見かけない、業務用、加工食品用として日本でも多く使われている油は何か知っていますか。アブラヤシの実から採取されたパーム油です。石鹸やシャンプーなどの非食品にも使われますが、アイスやチョコレート、マーガリン、インスタントラーメンや、フライドポテトやポテトチップスなどの揚げ油として使われているそうです。しかし、アブラヤシを採るために熱帯雨林の伐採が進行して問題化しています。食材ひとつとっても、背景には様々な問題が隠れていることも知っておきたいことです。

 以上、とりとめもなく油について記述しましたが、私がパン屋を始める前に、気になるものについて調べた内容です、間違っていることがあるかもしれません。ご指摘いただければ、記事を修正させていただきます。
 

 参照:厚生労働省㏋ Cotta㏋ 農林水産省㏋  
 
 

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