2006年「現代農業」という雑誌に『米粉パン』を焼いている大塚せつ子先生の記事が掲載され、先生のもとを訪ね米粉パンへの挑戦が始まった。あれからもう20年にもなるのかと感慨深いものがある。
今では、米粉パンの教室も書籍もとてもたくさんある。YouTubeにもたくさん載っているので焼いてみようと思えば、材料と道具さえあれば誰にだってできる。ただし、発酵の見極めや自分のオーブンのくせなどを掴むまでは失敗がつきもの。
今では米粉ではなく生米から作る米パンの教室やお店もある。もちろん、私も焼いてみた。米を浸水させておくなどの下準備はあるもののちゃんと美味しく焼けた。ただし、お店の商品にするには、一人では手が回らず数や種類が焼けない。しかし、家庭で焼くには概ねどんなお米でもパンが焼けそうだ。
パン用ミズホチカラという米粉を使用しているが、米粉でさえも、今ではパン用に使えるものが増えてきた。それは、米粉を作るときの製粉技術の研究によるものだろう。農水省のホームページの中にも、米の種類やでんぷん損傷率によるパンのできの違いだったかが掲載されていたと思う。それもここ数年前ではないだろうか。米粉を取り巻く環境がこんなにも違ってきていることを感じている。
ミズホチカラの苗を買って栽培してもらおうと考えたこともあったが、完全グルテンフリーな製粉をしてもらえる製粉所がないためあきらめたことを思い出した。大阪の教室でのこと、奈良県から参加された方が家で米粉を作ってパンを焼いてみたというではないか、よくよく手順などを聞き,やってみたが時間と手間が半端なかった。挙句の果てにやっと乾いてきた米粉が風で飛ばされ米粉の量がかなり減ってしまった。結局パンを焼くほどの量にならず、パンとしてではなくほかの粉と混ぜてお菓子にでもしつしまった気がする。
米粉のよさは、ほとんど人のアレルゲンになっていないこと。もちもちとした食感と腹持ちのよさ。くちどけのよさ。油の給油率が低いことくらいだろうか。サイリウムハスクやこんにゃくマンナン粉を使わない食パンは、病気や高齢となり食べ物を飲み込む力が弱い方でも食べやすく、離乳食期の赤ちゃんにも安心して与えられる。唾液や水分によって溶けるため,のどに詰まらせることはほぼないだろう。
サイリウムハスクもマンナン粉も植物由来のもので、保水性と粘性をもっているためグルテンのない米粉のパンを焼くために小麦粉グルテンの代わりに使う。食物繊維が豊富で便通もよくなると言われている。
いろいろなパンを焼いて提供したいが、まずは健康維持や体調の改善のために必要とされているお客様の食事に利用していただける米粉パン提供でありたい。そして、ちょっぴりお楽しみの焼き菓子、冷菓、菓子パンを店主の気まぐれに、無理のない範囲で提供していきたいと思う今日この頃だ。
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